ペルシャ絨毯とは アフガニスタン絨毯とは

絨毯 -遠く遥かな旅-

私たち日本人の生活の中でも、実用性だけにこだわることなく、インテリアの一部として絨毯を敷くことが多くなりました。


絨毯は現代の椅子とテーブル中心の生活スタイルの中にあっても、なんともいえない深みとあたたかさで私たちをつつんでくれます。絨毯といえば、ペルシャ絨毯に代表されるオリエンタルカーペット、そしてアフガニスタン絨毯。遠く遥かな夢幻の世界への旅にでてみましょう。

ペルシャ絨毯

3000年もの歴史を持つといわれる砂漠が生んだ芸術品、ペルシャ絨毯は織物の最高峰ともいわれます。過酷な自然環境に順応するために生まれ、悠久の時の流れの中で世代を超えて連綿と織り継がれてきました。


手作り工芸品の極致ともいわれる手織りの模様の美しさ、手の込んだ製法による抜群の耐久性。それは1平方メートルあたり20万~100万という結び目が織り込まれていることもあり、結び目が多ければ多いほど細かな模様が表現され、色彩も鮮やかになります。踏まれても踏まれてもほとんど毛が減らない強さの秘密がそこにあります。


絨毯には天国を象徴する、緑したたる庭園の図柄が描きだされている紋様もあります。絨毯の中に憩いを求めるイラン人の想いが込められているのです。

イラン

日本の4倍の国土を持つイラン。中央に広がるイラン高原、砂漠地帯を囲むように北辺にアルボルズ山脈、西部には北西から南東に走るザグロス山脈が聳え立ちます。


北部は雨量が多く青々とした草地が広がるカスピ海沿岸地方、広葉樹の生い茂る山岳地方そして荒涼とした砂漠地帯と多様の風景を見せてくれます。

イランの歴史

イランの歴史上、最初に現れたのは、BC550年西アジア全域を支配した古代ペルシャ帝国のアケメネス朝です。幾多の王朝の興亡を経て、1925年に興ったバーレヴィ王朝までがイランの王朝時代です。1979年のイラン革命を経て現在のイラン・イスラム共和国となりました。1935年にはペルシャからイランに改名されました。


16世紀に興ったサファヴィ朝のシャーアッヴァスの時代に美術・工芸などペルシャ文化が大きく発展したことがペルシャ絨毯の歴史上においても最も大きな影響を与えた時期と言われています。

アフガン絨毯ー坐の文化の要

東西文明の十字路アフガニスタン。西域人(胡人)が敷物の上で坐る。アフガニスタンは胡座(あぐら)の故郷である。
遊牧民がテントの中で絨毯を広げればそこに安息の空間が生まれ、別天地(オアシス)となる。アフガンの人々にとって絨毯は家宝であり財産である。

アフガニスタンのおける絨毯の製作は、数世紀前から行われ,手作りによる絨毯は家庭における必需品とされてきた。アフガニスタン絨毯の特徴は伝統的に赤色を基調とした幾何学紋様(大きな八角形の紋様は象の足形といわれる)と、経糸も緯糸もすべてウールを使ってきました。

ペルシャ絨毯のお手入れ方法

長い年月をかけて織られた絨毯は、何十年もの間お使いいただけます。床に敷いておくだけで毛(ウール)は湿気のある時は吸い、乾燥している時は吐き出します。
表面の埃は週に1~2度掃除機をかけて取るぐらいが日常の手入れです。一方大切に扱わないとその価値が薄れていきます。

湿気や虫食い

湿気の多い場所でお使いになる場合は年に一度ぐらいは風通しのよいところで陰干ししていただくことをお勧めします。


空気のよどんだ暗い場所、押入れや納戸に長時間しまい込むことで、カビの発生や、パイルのウールを食う虫による被害にあう恐れがあります。

コーヒーなど

もともと毛(ウール)は埃や水分を弾く傾向がありますので、すぐに乾いた白いタオルなどで水分を吸出し、それから毛の向きに沿って硬く絞ったきれいな雑巾などで拭き取るようにして下さい(お湯は使わないでください)。

緩衝材をはさむ

絨毯に先端が尖っているもの、重いものを置くときは緩衝材としてクッション等をはさみましょう。

花瓶・水槽は要注意

絨毯の近くに水槽・花瓶を置く時は要注意です。万が一シミになる液体(醤油、珈琲、紅茶、ワイン等)をこぼしてしまった時はスプーン等で毛の向きに向かって扱き出し、濡れタオル等で同じく毛の向きに向かって優しく拭きとってあげて下さい。


お湯を使うと毛が痛むことがあるのでなるべく避けましょう。

定期的に向きを変える

直射日光が当たる場合は定期的に向きを変えましょう。また長期にわたる太陽光線を受ける場所では日焼けによる色の変化が生じますので、日が射す間だけでもカーテンなどで強い太陽光線を遮るのが効果的です。

絨毯をしまう時

特に長期間絨毯をしまう時は、フサのついてる方からロールし、隙間に防虫剤をはさみましょう。また保存場所は風通しのよく、乾燥した場所がベストです。

絨毯の掃除

掃除機、帚を使用する場合は毛の向きにしたがってかけて下さい。

失敗しないペルシャ絨毯の選び方

「ペルシャ絨毯ってなんだか難しそう。」
こんな率直なご意見を以前耳にしたことがあります。確かにペルシャ絨毯の持つネームバリューは高水準の評価を得ておりますので、あまりお詳しくない方であればそう思うかもしれません。 ここでそんなペルシャ絨毯のちょっとした選び方をお教えいたしますので、機会ありました際はご参考下さい。

まず質の良い絨毯を選ぶには全体の歪みや型崩れの有無、直線に歪みがないか等をチェックします。ペルシャ絨毯はもちろん手織りですので、機械織りと違い多少の歪みがあるのはご愛嬌なのですが、質の高い絨毯はその歪みも比較的に少ないです。


加えてノット数(1㎡あたりの結び目の数)で判断するのも良いです。1㎠で考え縦横10ノットずつあれば1㎡で100万ノットとなります。ノット数に比例して手間暇も関わるわけですから、これをひとつの目安にしても良いかもしれません。


また産地や年代でも価値は変わってきますの、もしペルシャ絨毯に興味が湧いてきたという方いらっしゃいましたらぜひ当店に遊びに来てください。もっと色んな見どころをご紹介いたしますよ!

シルクorウール

これも以前お客様から耳にしたお言葉。
「ペルシャ絨毯はシルクとウールどちらを選んだらいいのか?」
これは難しいところですが、率直にお応えすればこれはご使用される方のお好みになります。


歴史の深みや耐久性があるのはウールです。これは周知の事実で、シルク製のペルシャ絨毯はいわば新興勢力の絨毯です(ここ40年程で普及したので)。ただバックボーンやその他諸々の評価で絨毯を選ばれるより、直感でまたお好みで絨毯を選ばれた方がきっとお気に入りの一品になりますよ。